名古屋工業大学 社会工学科

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土木学会中部支部 令和5年度研究発表会で優秀講演者賞を受賞しました

社会工学科環境都市分野の学生6名が、土木学会中部支部 令和5年度研究発表会で優秀講演者賞を受賞しました。おめでとうございます!

 

受賞内容

小栗 快之(前田研):異なる材料で構築された落石防護土堤の静的載荷における破壊性状

落石対策工の一つである落石防護土堤は,施工性や経済性などに優れる.しかし,土堤のエネルギー吸収メカニズムやその効果については,定量的な評価がなされていない.そこで本稿では,土堤の破壊性状の把握を目的に,土砂と砂のそれぞれで構築された土堤に対する静的載荷実験を実施した.その結果,土堤の剛性が低下するとき,土堤表面に変状は確認されず,土堤内部での変状の発生が推測された.また,土砂と砂では,土堤延長方向の変状範囲の広さや押抜き破壊の有無など,土堤表面の破壊性状が異なることが分かった.これは砂と比較して土砂の方が,粘着力が大きいことなど,二つの材料特性が異なることが要因として考えられる.

 

堀越 真唯子(庄研):降雨損失過程における不浸透域の窪地貯留量に関する研究

降雨損失の一つである窪地貯留量は一般的に浸透域では6mm、不浸透域では2mmと報告されていますが、土地利用による違いが示唆されているにもかかわらず詳しい検討はされていません、そこで本研究は、名古屋市緑区の土地利用の異なる4つのため池流域を対象に不浸透域の窪地貯留量を求め、土地利用が窪地貯留量算出に与える影響を評価しました。その結果、流域の土地利用状況によっては窪地貯留量が過大評価されていること、不浸透域割合が高く雨水管が密に整備された流域が窪地貯留量算出に有効であることが示唆されました。

 

加藤 紗也(北野研):治水計画のための風水害外力の条件付き極値解析

2000年の東海豪雨以降,大きな降水量を観測しておらず,東海豪雨直後に設定した計画降水量は過剰推定であり,下げざるを得ないのではないかと考えられるようになった.しかし近年,気候変動の影響が顕在化し,これまで経験したことのないほどの豪雨によって洪水や高潮といった自然災害が,日本に限らず世界各地で発生しており,治水計画の重要性は増している.気候変動で東海豪雨直後の計画が妥当になる可能性もあるかもしれない.そこで,本研究では降水量と流量,潮位と降水量それぞれについて2変量条件付き確率分布を用いて従属性の検討を行う.

 

古谷 仁美(鈴木研):名古屋市における救急車の出動現着時間の小学校区別分析

我が国における救急隊が救急現場や病院に到着するまでの所要時間は,いずれも増加傾向にある.これに伴う救命率の低下を防ぐため,救急活動時間の延伸を防ぐ対策が必要とされている.本研究では,救急隊が出動してから救急現場到着までの救急車の走行時間(出動現着時間)の短縮を目的とし,名古屋市消防局の出動データと搬送データを用いて,1次担当の救急隊が担当した出動の出動現着時間に関して小学校区別分析を行った.その結果,単回帰分析より出動現着距離に対して出動現着時間が長い地域や短い地域を明らかにした.また,道路密度が高い中心部ほど出動現着時間が短いことを示した.

 

小松 結(上原研):多孔質材料の含水状態に着目したPOC の耐凍害性能に関する研究

ポーラスコンクリート(以下,POC)は近年の気象変動に適した構造材料として,用途拡大が期待されている.ただし,積雪寒冷地域では,耐凍害性が低いことが憂慮される.ところで,使用済み瓦を破砕・整粒した瓦チップは多孔質材料であり,その特徴を活かした用途開発が進められている.本研究では,瓦チップの内部空隙,すなわち含水率の違いが耐凍害性に及ぼす影響の把握を目的に実験を基に検討した.凍結融解試験結果から,POCの粗骨材に含水状態に配慮した瓦チップを使用することで耐凍害性が向上することが分かった.ただし耐凍害性と圧縮強度との関係は負の相関関係であったため,今後も多くのデータをとる必要があり,SEM観察を予定している.

 

矢野 敦大(吉田(奈)研):Dehalococcoides mccartyi NIT-OBY株による1,3-ジクロロプロペンの無毒なプロペンへの脱塩素化

1,3-ジクロロプロペン(1,3-D)は農薬として世界中で使用されるが,発癌性の可能性がある.農薬の環境運命と土壌中での分解メカニズムの理解は重要であるが,嫌気条件下での1,3-Dの分解についてはほとんど研究されていない.本研究室でトリクロロエチレン(TCE)汚染土壌から新たに分離されたDehaloccoides maccatyi NIT-OBY株は,酵素ではなく細胞の培養物が1,3-Dをプロペンにまで脱塩素化した.NIT-OBY株は27個の脱ハロゲン化酵素をもち, そのうちの一つであるRdhA11がDehalococcoides ethenogeneのトリクロロエチレンデハロゲナーゼ (TceA)と97.47%のアミノ酸類似率を示した.

 

 

受賞者の声

 堀越真唯子さん

この度は、このような賞をいただき大変光栄に思います。今回の受賞は、指導教員である庄建治朗先生をはじめ、研究室のメンバーのサポートなくしては得られないものであったと感じています。この場をお借りして感謝申し上げます。今後もより一層研究に励み、水害対策に貢献していきたいと思います。

小松結さん

このような賞を頂けて光栄です。研究に協力していただいた先生方と関係者の皆様、そして研究室メンバーに深く感謝いたします。

 

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