名古屋工業大学 社会工学科

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令和6年度 土木学会中部支部研究発表会 優秀講演者賞を受賞

本分野より5名が,令和6年度 土木学会中部支部研究発表会 優秀講演者賞を受賞しました.おめでとうございます!

 
受賞内容
加藤碩二郎さん(前田研):基礎地盤中の粘土層の位置が堤体と基礎地盤の損傷に及ぼす影響
河川堤防では出水時に裏法面・裏法尻・堤内地基礎地盤からの漏水・噴砂の事例が多く確認されている.この一因として,旧河道付近に形成された不透水層が,間隙水の堤内地における行き止まり境界となり漏水を誘発している可能性が示唆されている.本研究では,粘土層の片端の裏法尻に対する位置を変えた模型実験を実施し,基礎地盤表層の粘土層の位置の違いによる漏水発生状況,堤体と基礎地盤の変状・損傷パターンとその動態の生じる違いを調べ,そのメカニズムの解明を試みた.
 
佐野翔騎さん(前田研):地下埋設管周辺の空洞形成過程に及ぼす地下水面形の影響
陥没発生の原因となる地下空洞の形成には地下水位条件が一つの要因となっているが,具体的な影響や空洞形成過程における地下水位挙動は解明されていない.そこで飽和地盤内の地下水位を可視化して模型実験を行い,水位挙動について考察を行った.その結果,地下水位挙動と土粒子流出量の変化には一定の関係があることが判明した.またThiemのε法を用いることで災害規模の推測が可能であることが明らかとなった.
 
木村駿哉さん(秀島研):説明可能なAIを用いた津波常襲地域における建物用地化に寄与した要因の分析
三陸沿岸部では,津波災害後に低地の宅地化が進むという課題が指摘されており,これにはインフラ整備が影響している可能性がある.本研究では,明治期以降の三陸沿岸部における⼟地利⽤の変遷をもとに,説明可能なAIの⼀種であるXGBoostとSHAPを⽤いて建物⽤地化に影響を与えた要因を分析した.その結果,低地や緩傾斜地,隣接建物⽤地が多い場所で建物⽤地化が進む傾向が確認されたほか,港湾などのインフラ整備と建物⽤地化の関係が⾒られる地域があることが分かった.
 
中江奏太さん(藤田研):発地域別距離帯別の時間変動係数に基づく時間帯別OD交通量の逆推定手法
地域特性と距離帯特性の両方が考慮された時間変動係数(日OD交通量に対する時間帯別OD交通量の割合)に基づく時間帯別OD交通量の逆推定手法を開発した.適用した結果,普通車と大型車の両方において,先行研究の逆推定手法よりもリンク交通量の推計精度が向上した.また,短距離帯では地域特性も考慮された距離帯別の時間変動パターンが推定された.
 
弓場翔太さん(庄研):矢作川河川敷で出土した木杭列の酸素同位体比年輪年代法による年代推定
岡崎市の矢作川に架かる矢作橋は,江戸時代には日本一長い橋として知られ,交通の要所として歴史的に重要な役割を果たしてきた.矢作川に初めて橋が架けられたとされるのは1601年だが,それより前にも橋が存在したと読み取れる記述が「太平記」などに見られる.近年の調査において,現在の矢作橋付近で古い橋脚らしき木杭列が埋没していることが確認された.そこで本研究では矢作橋付近で発見された木杭について酸素同位体比年輪年代法を用いて年代を推定した結果,これらの木杭が12世紀頃の橋脚である可能性が高いことが判明し,中世以前に橋が存在していた裏付けが得られた.
 
 
受賞者の声
加藤碩二郎さん(写真 右):

この度はこのような賞を受賞することができ,大変光栄に思います.今回の受賞は,指導教官である前田健一教授をはじめ,研究室のメンバーのサポートなくしては得られないものであったと感じています.この場をお借りして感謝申し上げます.今後はより一層研究に励み,河川堤防の効率的な維持管理に貢献していきたいと思います.

佐野翔騎さん(写真 左):

この度はこのような賞を頂き,大変光栄に思います.今回の受賞は指導教官である前田先生をはじめ,研究室の先輩方のご指導のおかげです.この場を借りてお礼申し上げます.陥没災害は現在注目を集めており,メカニズムの解明が闕乏されています.修士課程での2年間においても研究活動に尽力し,実社会に貢献できるように努めていきます.

木村駿哉さん:

このたびは,このような賞をいただき誠に光栄に存じます.このたびの受賞は,ご指導いただいた秀島先生,中居先生をはじめ,研究室のメンバーの協力をなくしては得られないものであり,この場をお借りして深く感謝申し上げます.今後は本学の研究活動で培った経験を活かし,土木技術者として,より多くの人々が安全,安心そして快適に暮らすことができる社会の実現に向けて尽力してまいります.

中江奏太さん:

この度は,このような栄えある賞を頂戴し,大変嬉しく思います.今回の受賞は,指導教員である藤田素弘教授をはじめ,研究室の皆様の支えがあってのことと感じております.この場をお借りして,心より感謝申し上げます.この受賞を励みに,今後もより一層研究活動に邁進し,さらに精度の高い交通量の予測手法の検討に努めて参ります.

弓場翔太さん:

このたびは,このような賞をいただき,大変光栄に思います.今回の受賞は,指導教官である庄先生をはじめ,研究室の皆さま,そしてお世話になっている宮川さんのご協力があってこそ得られたものです.この場を借りて,心より感謝申し上げます.今後も研究に一層励み,過去の矢作橋に関する情報を少しでも多く引き出せるよう努めて参ります.

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