就職先紹介
海外で活躍する卒業生の職場紹介
福島知行さん(名古屋工業大学土木工学科1973年卒業)
ベトナム南部のメコンデルタ地域には,メコン川主流のほかに多くの運河が張りめぐられている.多くの人々が生活し,水田で米をつくり,水路を舟で行き来している.ところどころに簡易な仮設橋はあるものの,車が通れなかったり,重い荷物を運ぶには適さないものがほとんどである.雨季には通行が寸断され,物資の運搬がストップ,子供たちも学校に行けないこともある.
橋のない川を舟で渡る人々
こうした地域の問題を解決する一助とするため,メコンデルタ地域15省の中小橋梁の架け替えまたは新設を行うことにより,農村からの物流の促進,地元産業の活性化に寄与するとともに,貧困層の生活向上を図る目的で,このプロジェクトが計画された.
その内容は,20橋の施設建設と17橋の資機材調達からなる.施設建設は日本の業者による橋梁の建設を29ヶ月(2001年11月より2004年3月)で行った.資機材調達は,12ヶ月(2001年11月より2002年10月)で,日本から運ばれた鋼製桁をサイゴン港に陸揚げした.この鋼製桁はローカル業者により設置された.
メコンデルタには,広い範囲にわたって軟弱地盤が形成されており,橋梁取り付け部の盛土の沈下を促進し安定させるため,プラスチックボードドレイン(PBD)による地盤改良が多くの橋梁で採用された.
PBDの施工状況
施設建設型のほとんどの橋は,プレストレスコンクリート桁(PC桁)が採用されており,そのほとんどは,水運を利用して,ホーチミン市の北東部にある工場から現場に搬入されたが,現場で製作されたものもある.
PC桁の設置状況
資機材調達のおける17橋の鋼桁供与は2002年9月末に,施設建設の20橋は2003年12月末までにすべて完了した.これにより,より円滑で安全な交通の確保,迂回輸送の解消,河川交通の安全確保などの直接効果のほか,地域産業の活性化,地域間格差の是正という効果も期待されている.
新橋により川を安全に渡れるようになった小学生