我が国の社会基盤も近代化が進み,整備が進んできており,すでにただ開発すればよい,建設すればよいという時代ではなくなりつつあります.これからは,あらゆる社会環境が,人間の真の幸福にどう作用しているのかを長期的に検討し,研究するべき時代であると思われます.
管理工学は,すでに人間環境の一部となった社会環境の機能管理,安全管理,維持管理,破棄再生について検討し,社会基盤システムを長期にわたって管理(See)することを学び,研究する分野です.
豊かで幸せな生活を営めるように私たちはさまざまな社会基盤システムを作ってきましたが,これらの施設を安全にまた効率的に運用するためのシステム(ソフトウェア)も非常に大切なものです.
私たちの生活に欠かせない交通機関において,高速道路や新幹線などの鉄道では渋滞や事故が起こらないように,絶えず自動車や列車の動きを監視しコンピューターでその通行を制御しています.また,最近インテリジェント化が進んでいる社会基盤施設では,温度や湿度といった施設内部環境のコントロール,火災等に対する防災安全管理もコンピューターを使ったシステムにより行われています.さらにこれら施設の本来の機能がいつでも発揮されるようそのメンテナンスやライフサイクルについて検討がなされ,その成果が計画工学や構築工学にフィ一ドバックされています.
地震,台風,豪雨などによる自然災害の予知や防止のため地盤の動きや河川,海岸の水位,雨量の変化を正確迅速にキャッチし対処できるシステムを構築し,海域や大気の汚染状況を絶えず調べて私たちの地球環境を守る監視システムも作っています.さらには,祖先の遺産である歴史的構築物や街並みの保存状況をチェックし,私たちの子孫にこれらの貴重な文化遺産を継承することも重要な役目です.
このように管理工学とは討画(Plan)に基づき構築(Do)された社会基盤が本釆の機能を十分発揮できるように監視(See)運用するための工学です. |